その界隈ではレジェンドとも称される有名プレイヤーであり、 e-sportsチーム「京都スサノオ」の運営やeスポーツの新規事業創出、プロデュース事業を行う 株式会社スサノオの代表取締役でもある中野貴博、通称『中野サガット』。
2020年1月24日(金)~26日(日)の3日間にわたり幕張メッセで開催された【EVO2020】の2日目、 2冠達成後の興奮冷めやらぬ現場へ突撃。
今回の2冠達成の率直な感想や、勝利への決め手、 そしてプレイヤーとして、eスポーツ会社の代表としての今後のビジョンなどをうかがった。
―――まずは優勝おめでとうございます!今大会なんと2タイトルで優勝を収められましたが、率直な今のお気持ちを教えてください!
ありがとうございます!
まず初日に行われたストリートファイターⅡ’ターボに関しては、 27年前、14歳の時に優勝したタイトルとほぼ同じ(厳密にいうと、移植前と移植後で少し違うが)ということで、 これは優勝しておきたいなという気持ちが強かったので、優勝できてかなり嬉しかったです。
今日のウルトラストリートファイター2は最近全くプレイしていなかったことと、 参加するメンバーが強敵揃いだということを事前に知っていたので、まさか優勝できるとは思っていませんでした。
―――勝利への決め手、要因はなんだったと考えますか?
今日のトーナメントでは、多分ここまではいけないだろうと思っていたところを越えた時に、ここまで来たんだったらもう優勝するしかないなと思いましたね。 そこで気持ちの切り替えもできたので、そこからは調子良かったですね、プレイ内容も充実していて。
あとは、当たったら負けそうと思っていた方にも勝てたので運の良さもあったのかなと思っています。
▲優勝が決まった瞬間、声援を送ってくれていたチームメンバーやファンに向けてガッツポーズ
―――格闘技というとゲームでもリアルでも、やっぱり反射神経の良さなどが大事になってきますか? また、昔と比べてそういう部分で衰えを感じることはありますか?
反応速度、反射神経とか動体視力っていうのは格闘ゲームでは一番重要な部分で、 実際の格闘技なんかにも共通するところはあると思いますし、この能力が高い人は一つ何かのタイトルが強ければ、 他のゲームでも他の人より成長速度が速い傾向にあると思います。
歳をとってくるとどうしても身体機能は落ちてくるので、もし今の若い世代の人たちと 同じスタートラインで同じ量を練習したとしたら負けてしまうかもしれないですね(苦笑)
今回のトーナメントに関しては、自分と年齢層の近い人たちが多くて 昔からやってる人たちが集まった大会だったので、反射神経などの能力の衰えの面ではみんな大差なかったと思います。
その中で自分の本来の力を出し切れたことが今回の結果に繋がったかな、と。
出そうとした技が出なかった!とか失敗はほぼ無く、かなり理想に近い感じで反応できてましたね。ノってました、結構(笑)
―――すごく今さらなんですが“中野サガット”っていうプレイヤーネームの由来は?
今は「春麗」というキャラクターを使ってるんですけど、 27年前に優勝した時は「サガット」というキャラで優勝したんで、それが由来ではあるんですけど…自分でつけたわけではなくてつけられたんです。
当時のドキュメンタリービデオみたいなのがレンタルビデオ屋さんに置いてあって、 その番組内でナレーターの方が「中野サガット」って呼んでたんで、それから中野サガットって名乗るようになりました。
―――なるほど。では更に遡って、そもそもゲームは何歳のころから始められたのですか?きっかけなどあれば教えてください。
僕が子供のころはちょうどファミコンの世代だったんですけど、うちは親が厳しくて買ってくれなかったんです。 だから友達の家に行ってゲームばっかりしてたんですけど、小学校5年生のころについに買ってもらえることになって、 それまで買ってもらえなかった反動でのめり込むようにプレイするようになりましたね。
だから規制というか、制限するのはほどほどにした方がいいよってよく思いますね(苦笑)
▲試合の様子はゲーム情報サイトのYouTubeチャンネルで生配信された
―――得意分野はやっぱり格闘ゲームですよね?他のジャンルのゲームはプレイしますか?
eスポーツ競技っていうので絞ると自分に関しては格闘ゲーム一筋できたんですけど、ゲーム自体はいろんなジャンルのゲームをやります。
それこそドラクエみたいなRPGで、最短クリアを目指したり発売日から2日でクリアするとか昔はよくやってました。
―――今現在ゲームに1日どのくらいの時間を費やしてますか?
今は全然やってないです(笑)
―――えっ…それで今大会2冠ですか…?
去年ラスベガスで行われたEVO2019のSUPER STREET FIGHTER II X(通称スパ2X)と、今大会の2タイトルとで共通して言えることなんですけど、 そのゲームが発売された当時は寝食以外の全てをゲームに費やしてたので、それが染み付いていて、今でもちょっとプレイしただけでその感覚が蘇ってくるっていうところですかね。
やってきたことは無駄にはならないなっていうのは今回改めて感じました。
―――社長でもありプレイヤーでもある中野さんですが、社長が直々にこういった大会に出ることで得られるものやメリットはなんでしょうか。
自分の優勝を通じて、自社チーム「京都スサノオ」の若い世代のプレイヤーにとっていい刺激になれば嬉しいなと思います。
社内や自チームだけではなくて、世間の同年代の人たちから直接こういう場で声を掛けてもらえるのも嬉しいですね。
今日も何人か「応援してます」って直接声を掛けてくれて。 元々昔から知ってくれてはいるんですけど、僕が今eスポーツ事業をやっているのをSNSやHP見て知ってくれた人が 「これからも頑張ってくださいね」って会って直接言ってくれて、自分の存在意義を感じたりしましたね。 めっちゃ嬉しかったです。
―――今後なにか大会に参加する予定や挑戦したいタイトルはありますか?
やっぱり自分が得意とするのは格闘ゲームっていうジャンルなので、 格闘ゲームの他のタイトル、例えばストリートファイターのVとか、そこで上を目指すために練習する時間があればちょっと挑戦してみたいですね。
特に今年はインテルのオリンピックのストリートファイターVとロケットリーグっていう賞金制の大きな大会もあるので、今からそこを目指すのは難しいかもしれないですけど、 今後も自治体や国を巻き込んだ大きなイベントって増えてくると思うんですよね。
そこに僕らくらいの世代が表に出て、そこそこ活躍できたら同年代の人たちにも希望を持ってもらえるというか、頑張ってるなって思ってもらえるかなと。
FPSとかって競技年齢が若いですよね。
僕個人的には10代がピークかなって思っていて、一般的にも24、5歳になると低下していくというようなことを言われてますけど、これってジャンルによって違うと思うんです。
格闘ゲームって30代、40代でも強い人はめちゃめちゃ強いんですよ。
プロゲーマーでも活躍してる40代の方がいるんで、その人たちにも続けてほしいですし、今20代後半とか30代でゲームで頑張りたいって思ってる人とかに、格ゲーは年齢関係なくできるジャンルやで!っていうことを自分の活躍を通じて思ってもらえたら嬉しいですね。
―――中野さんの今後の挑戦に期待ですね。当面のスト2の大会は全部かっさらうつもりで行きますか?(笑)
(笑) スト2はこういった大きな大会が今後も続いていくと思いますし、来年のラスベガスのEVOもサイドトーナメントであるでしょうから、それも出たいですね。
どうせだったらEVOはEVOだけで連覇とかEVO JapanはEVO Japanで連覇とかできたらいいなと思います。
▲チームカラーのオレンジを基調として、「京都スサノオ」の名のとおり京都をテーマに和を重視したデザインが特徴のユニフォーム
―――プレイヤー、社長としての今後のビジョンは?
これから大会に出て上位を目指すってなると練習時間も必要になってくるので、メインタイトルとかその辺は自チームの選手たちに全面的に活躍してほしい。
僕自身は今日のようなサイドトーナメントでも優勝は優勝なので、こういったところで社長が優勝しているということを、会社としての武器にして仕事に繋げていけたらいいなと思います。
何よりもプレイヤーファーストで、彼らのために僕がやってる事が役に立てれば幸いですね。
―――スサノオさんといえば本拠地を関西に置いているわけですが、そういった意味で会社としての目標などはありますか?
EVOはもともとアメリカでやっていたものが日本に来て3年目になるんですけど、今のところ関東と九州でしか開催されていないので、これを大阪、関西に持っていきたいです。
EVOだけじゃなくて、格闘ゲーム以外のeスポーツの大きな大会もやっぱり関東に集中しているので、そういうのを関西で開催するためにも、それを実現できる施設をもっと増やさないといけないと思うし増やしたいですね。
関西から活躍する有名なプレイヤーを輩出するための力になりたいというか。 会社としてもチームとしても関西のeスポーツ界にいい影響を与えられたらと思います。
実際にプレイしている時やゲームのことについて語る時は少年のような表情を見せるが、しっかりeスポーツ界の将来を見据えた社長としての顔も併せ持つ中野さん。
EVOの会場の空気にあてられたことももちろんあるが、中野さんと話していると
「自分もまた本格的にゲームをやってみようかな?」 と思えてきた。
大きな大会に出て賞金が欲しい、有名になりたい!という欲でもなく、関西のeスポーツ界を盛り上げていきたい!という大それた夢や目標を抱いたわけでもないが
純粋にゲームを楽しみ、将来への希望に溢れる中野さんと話していたら自然とそう思えてきたのだ。
プレイヤー・中野サガットとしての活躍はもちろん、その名の通り関西のeスポーツ界の「スサノオ」=「神」になりえる組織(チーム)を率いる中野さんから目が離せない。
■中野サガット(格ゲープレイヤーWiki)
■株式会社スサノオ
■京都スサノオ
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